(改正後全文)
児発第605号
平成6年6月23日
一部改正
児発第378号
平成7年4月3日
児発第308号
平成10年4月10日
児発第352号
平成11年4月8日
児発第670号
平成12年7月28日
都道府県知事
各 殿
指定都市市長
厚生省児童家庭局長
乳幼児健康支援一時預かり事業の実施について
近年、核家族化、都市化の進展、女性の社会進出の増大等、児童を取り巻く環境は大きく変化するとともに、家庭や近隣社会における子どもの養育機能が低下してきている。
このため、子育てと就労の両立支援の一環として、保育所へ通所中の児童が「病気回復期」であるということで、自宅での育児を余儀なくされる期間、当該児童を預かる一時預かり事業を行うため、今般、別紙のとおり「乳幼児健康支援一時預かり事業実施要綱」を定め、平成6年4月1日から実施することとしたので、その適正、かつ円滑な実施を図られたく通知する。
(別紙)
乳幼児健康支援一時預かり事業実施要綱
1 目 的
この事業は、現に保育所に通所中の児童等が病気の「回復期」であり、集団保育の困難な期間、当該児童を保育所、病院等に付設された専用スペース又は派遣された保育士等が児童の自宅等において一時的に預かる事業(以下「病後児保育」という。)、産後の体調不良のため家事や育児が困難な核家族の家庭等に保育士等を派遣して産褥婦や乳児の身の回りの世話や育児を行う事業(以下「産褥期ヘルパー」という。)又は保護者の傷病・入院等により、緊急・一時的に保育が必要となる児童の自宅に保育士等を派遣して保育を行う事業(以下「訪問型一時保育」という。)を行うことにより、保護者の子育てと就労の両立を支援するとともに、児童の健全な育成及び資質の向上に寄与することを目的とする。
2 実施主体
この事業の実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)とする。
なお、この事業の一部を社会福祉法人等に委託することができるものとする。
3 対象児童等
(1)病後児保育
保育所に通所している児童等であって、病気の回復期にあることから、集団 保育が困難な児童で、かつ、保護者が勤務等の都合により家庭で育児を行うこ とが困難な児童であって、市長村長が必要と認めた者とする。
(2)産褥期ヘルパー
核家族の家庭等で昼間に産褥婦及び乳児を介助する者がいない家庭にあり、 出産後間もなく体調不良のため、身の回りのことや家事、育児が困難となって いる産褥婦又は出生後間もない多胎で出生した乳児を養育する産褥婦であって 市町村長が必要と認めた者とする。
(3)訪問型一時保育
保護者の傷病・入院等により、緊急・一時的に保育が必要な児童であって、 市長村長が必要と認めた者とする。
4 事業の内容及び実施方法
(1)市町村長は、病後児保育を必要とする児童に対し適切な処遇が確保される施設(以下「実施施設」という。)において本事業を実施すること。
また、上記によるほか病後児保育、産褥期ヘルパー及び訪問型一時保育は、看護婦及び保育士等の養育者等を派遣(以下「派遣方式」という。)して本事業を実施すること。
(2)実施施設及び派遣方式における業務
ア 病後児保育
(ア)児童を受け入れるに当たっては、当該施設、協力医療機関等の医師に より、当該児童を病後児保育の対象として差し支えない旨の確認を受け ること。
(イ)体温の管理等その健康状態を的確に把握し、児童の病状に応じて安静 を保てるよう処遇内容を工夫すること。
(ウ)他の児童への感染の防止に配慮すること。
イ 産褥期ヘルパー
家事の援助及び助言・相談並びに育児の援助及び助言・相談(以下 「家事援助等」という。)を行うこと。
ウ 訪問型一時保育
緊急・一時的に保育が必要となる児童について保育(「以下一時保 育」という。)を行うこと。
(3)利用期間
ア 病後児保育
集団保育が困難であり、かつ、保護者が家庭で育児を行うことができ ない期間の範囲内とする。
イ 産褥期ヘルパー
産褥婦が出産後間もなく体調不良であり家事や育児が困難である期間 の範囲内とする。
ウ 訪問型一時保育
保護者が家庭で育児を行うことができない期間の範囲内とする。
(4)実施施設の開設日並びに開設時間及び派遣方式の養育時間は、保育所に準じて設定すること。
(5)医療機関以外の実施施設及び派遣方式でこの事業を実施する場合は、協力医療機関との連携を強化することにより、緊急の事態に迅速かつ適切に対応できる体制の確保を図ること。
5 実施施設等
(1)病後児保育
ア 実施施設の指定
実施施設は、あらかじめ市町村長が指定した保育所等の厚生省児童家 庭局所管の児童福祉施設又は病院若しくは診療所に付設された施設ある いは本事業のための専用施設であって適当と認めたものとする。
イ 利用定員
実施施設の利用定員は、乳幼児2人以上とすること。
ウ 職員配置等
(ア)実施施設には、病後児保育を専門に担当する者として看護婦及び保育 士等を配置すること。
派遣方式には、看護婦及び保育士等を市町村に複数登録すること。
(イ)実施施設には、保育室、観察室又は安静室及び調理室等事業の実施に 必要な設備を有すること。
派遣方式は、医療機関、児童福祉施設等の余裕スペースで実施するほ か、当該児童の自宅、保育士等の自宅において実施して差し支えないこ と。
(ウ)児童福祉施設、病院又は診療所と施設を共用する場合には、それぞれ の法令や通知に定める趣旨に抵触しない範囲において、実施して差し支 えないこと。
(2)産褥期ヘルパー
ア 職員配置等
(ア)家事援助等を行う者として看護婦及び保育士等を市町村又は事業の委 託機関に複数登録すること。
(イ)派遣場所は産褥婦の自宅とすること。
(3)訪問型一時保育
ア 職員配置等
(ア)一時保育を行う者として保育士等を市町村又は事業の委託機関に複数 登録すること。
(イ)派遣場所は対象児童の自宅において実施すること。
6 事業実施の留意事項
市町村は、この事業の実施に当たっては、次の事項に留意するとともに、本制度の地域住民への周知徹底を図るなど、事業の円滑、かつ効果的な運営に努めること。
(1)利用事務手続きについては、市町村毎に定めることとするが、保護者の利 便を考慮し、弾力的な運用を図ること。
(2)利用申請があった場合には、実施施設又は登録された保育士等に受入上の支障がない限り、速やかに利用の決定を行うこと。ただし、特に緊急を要する場合にあっては、利用申請等の書面による手続きは、事後であっても差し支えないものとする。
(3)申請に的確かつ迅速に対応するため、あらかじめ、利用を希望する者を把握するとともに、実施施設の受け入れ体制等の実態を把握すること及び派遣方式に携わる看護婦、保育士等の確保・研修に努めること。
(4)医療機関、保育所等他の関連サービスとの十分な調整を行うとともに、児童委員等の関係機関と十分な連携を図ること。
(5)本事業の実施に当たっては、子育て支援短期利用事業やファミリー・サポート・センター事業との連携を図ること。
7 事業を実施する手続き
(1)この事業を実施する市町村長(指定都市の市長を除く。)は、毎年度、実施施設について都道府県知事に協議のうえ承認を得ることとし、都道府県知事は、市町村の事業計画等について必要な審査を行なうこと。
(2)都道府県知事が前記の承認をする場合及び指定都市の市長が本事業を実施する場合のうち実施施設を指定して行う場合には、当分の間、別紙様式によりあらかじめ当省に協議すること。
8 費 用
(1)市町村は、本事業を実施するために必要な経費又はその委託に要する経費を実施施設に支弁するものであること。
(2)市町村は、本事業を実施するために必要な経費の一部(産褥期ヘルパーの所得税課税世帯は全額)を保護者から徴収することができるものであること。
9 国の助成
国は、予算の範囲内において、市町村が実施する事業に対して都道府県が補助する事業及び指定都市が実施する事業について、別に定めるところにより補助するものである。